No.5 レジ前の絶望と、現代の参勤交代

先日、娘の激しすぎる忘れ物について赤裸々に書き殴ったばかりだが、実は妻も似たようなものだ。
しかし、彼女の場合は少しタチが悪い。

子どもたちが欲しいものがあって買い物へ行ったとき。ドライブがてら道の駅に寄ったとき。そして最も恐ろしいのは、旅行先の商店街や食堂での会計時だ。

「アラ?財布が無いワ……」

よりによって、支払いをするまさにその直前に発覚する。

独身時代から通帳、印鑑、クレジットカードのすべてを差し押さえられ、お小遣い制という名の経済制裁(?)を受けている身としては、この突発的な出費は致命傷に近い。

「ここは、僕が払おう」

だが、子どもたちの前でうろたえるわけにはいかない。父親の威厳を保つため、私は動揺を微塵も表に出さず、少し低めの声と紳士的な微笑みをたたえて財布から身銭を切る。

誤解のないように言っておくと、旅費や宿泊代といった大きな出費は、事前に妻がカードでスマートに決済してくれているのだ。決して妻に悪気はない、はずである。

なのに、レジの前で現金を支払う瞬間、私の脳裏にはなぜか「参勤交代」の四文字が浮かぶ。
江戸幕府が諸大名に大金を散財させ、財政を圧迫することで反抗する気力を奪ったという、あの恐ろしい統治システム。

現代の我が家で行われているのも、もしやこれと同じ手法なのだろうか……。


Mo.6 家族旅行記 侘び寂びを求めて
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2026年07月20日